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君のための物語

君のための物語 著:水鏡希人

君のための物語 (電撃文庫)

華やかさや成功、更には充実とも無縁な生活を送る日々。
ある冬の晩、悪酔いしてた所に奇妙で不思議な「彼」と出会った。
「彼」と「私」の間で起こる数奇な運命を綴った物語が始まる。
第14回 電撃小説大賞<金賞>受賞作品!

――
ラノベサイトとかでいい評判を受けているので読んでみたんだが、
これが評判通り良い読み物でした。うん、これは金賞納得だわ。

主人公は正体不明で謎だらけの「彼」に突然出会い、
それがきっかけで奇妙な体験をしていくというものだが、
その1つ1つの出来事が読者をぐいぐい引き込むような魅力を放っているのですよ。

物語の1つ1つの完成度が高く、全体としてもまとまった仕上がりになっている。
特に1章と2章はヤバイ。1章は哀しい結末でありながらも読んでる間はホント引きこまれた。
まぁ個人的にラストの5章は微妙だと思ったが、それでも他の物語がすげぇ。

登場人物は「彼」を除いて決して個性的というわけでもないのに個性を感じる。
なんでなんだろうね。キャラクターがよく書けているからなのかね。
人間らしさが溢れているというかなんというか、あー上手く表現できねー!
「彼」が織り成す、その世界観に似つかわしくない奇怪な行動もまた面白い。

結論を言えば面白かった。この人が他に書いた小説があれば読みたいと思った。
アクションみたいにドガーンドゴーンとするわけでもなく、
萌え系みたいにはわわ~~みたいな展開もない。
表面だけ見ると地味なんだけど内容はガッシリ、そんな本でした。