・狼と香辛料 XI Side Colors II 著:支倉凍砂
狼と香辛料の短編集第二弾。
「狼と黄金色の約束」「狼と若草色の寄り道」「黒狼の揺り籠」の3つを収録。
前二つのエピソードはロレンスとホロがキャッキャウフフするお話です。
時期的にはいつの話なんだろう。まだ二人きりの旅だから5巻以前かね。
ロレンスとホロのこの掛け合いもなんか久しぶりだなぁ。
ホロが茶化してロレンスも足元を掬われないように対応するが
やっぱりホロの方が一枚上手でしたーという流れ。
今の狼がつまらないというわけじゃないけど、
この頃の二人は読んでてニヤニヤしたのも事実。
時折出るロレンスのクサいセリフにギップルの如く悶えたもんだ。
今の二人はもうほとんど夫婦にみたいなもんだから新鮮さというものがw
「黒狼の揺り籠」で前二つとガラリと雰囲気が変わる。
エーブがまだ駆け出しの商人で元々の名の「フルール」だった頃の話。
11巻はぶっちゃけこれがメインのような気がしてならない。
エーブは如何にしてエーブになったのかについてが書かれているからね。
この頃のフルールは今のような狡猾さは全く無く、むしろ商人として甘い程。
凄腕の商人であった付き人から極意を教えられ、時には自らの思うまま行動し、
自信が付き始めた所にその自信を打ち砕かれるというこの一連の流れは、
商人が如何に恐ろしい人種であるか、という事を教えてくれる。
てかあんな事がまかりとおるのかwと思っちゃんたんだが。
商人ってかほとんど詐欺師に近いレベルなんだけど…。
この世界の商人はやられても「仕方ない」で済ませちゃうのか。
商人は他人の事は全て金銭的な価値でしか見ない。フルールも身を以って知る事になった。
ドラクエ世界の商人が皆こうだったら俺ぜってー買い物しないぞ。
終盤のあの展開には読み応えがありました。
黒い布の使い道を提案したフルールにちょっと背筋がゾクッときちゃったわ。
そしてフルールからエーブへ。修羅の道を進み始めたと言っても過言じゃない。
いやなんとも印象に残ったエピソードだった。
これ最初に持ってきた方が良かったんじゃないのかw
1分考えてやっぱこれは後の方で良かったと思い直した。